ピンチヒッターProf. Kです。担当執筆者はピンチなのでしょうか。
今回は、ひょっとして細い糸に気付かず引っ掛けて切ってしまっていないか・・・という話。
ぼーっと歩いていて、気づかずに引っかけた糸が地雷につながっている場合もある。この場合、一回でも引っかかろうものなら人生が終わってしまう。
地獄におりてきた蜘蛛の糸をそっと手繰り寄せてうまく極楽へと脱出できるはずだったのに、ちょっとした心得違いによって、そのチャンスを無にした犍陀多もいた。
たぶん、科学の女神は、いろんなところにたくさんの細いヒントの糸を仕込んでくれている。そして、その糸は、一般の人には見えないくらい細い。
科学者はその見えない糸を見ることができるよう特別にトレーニングされた者である。例えば、ウエスタンブロッティングでは、ろ紙についた黒いシミのようなものをみて、生命の神秘に迫ろうとする。ロールシャッハテストの答えから、患者の心の内面を探るように。
普通の人が気づかないことに気づき、それが何かにつながっていることを想像し、それを思い切り引っ張るべきか、緩めるべきか、それとも一匹の蟻にくくりつけて歩かせるのかを判断する。それが研究センスだ。
うっかり引っ掛けて切ってしまった糸の端っこは二度とみつからない。